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「日中金属工会定期協議」の報告と気づき

はじめに

 「12月29日は今年を振り返る日、30日は今年お世話になった方々を思い起こす日、そして31日は新年の抱負を考える日」。私の年末の迎え方を、昨年のこの記事で先のように書いた。気が付けば、またその時期になった。一年が経つのが毎年早くなっているように感じる。今年も色々なことがあったが、直近では11月26日から30日まで、中華全国総工会(※1)と全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)との定期協議である「日中金属工会定期協議」のため北京、西安を訪問した。北京は2年ぶり、西安は初めての訪問であったが、刺激的な中国訪問となったので報告させていただく。

 今回の定期協議では、中国機械治金建材工会(組合員数約4,000万人)ならびに中国国防郵電工会(約2,250万人)との意見交換を行った。また、北京汽車集団と送風機集団の2カ所の工場視察と現地工会との意見交換も行った。
※1 中国における唯一の公式な全国規模の労働組合連合(ナショナルセンター)

定期協議の報告

(1)政治・経済情勢について

 本年10月1日に中華人民共和国は建国70周年を迎えた。習近平主席は建国100周年(2050年)に向けて、「ゆとりある社会」「世界の中心国になる」ことを目標に掲げ、"エコ文明"の達成、経済と社会の発展、理念の発展に取り組むことを発信した。特に科学技術のイノベーションに注力しており、研究開発投資として年間3,000億ドル(2018年)を使っていること、5Gなどの特許も多く出ていることなどが協議の中でも紹介された。そして多くの分野で世界トップクラスの地位を獲得するまでに成長したことなどが、強い自信と共に語られていた。一方、遅れている分野として半導体(CPU)、精密機械設備、航空機、新素材、部品、製薬、医療設備などをあげ、ぜひ日本と協力して取り組みたいとの意向も示された。また、現在の平均寿命は77歳、生産年齢人口は、8億9,000万人だが、毎年4~500万人減少しており、加えて高齢化のスピードが早く、2050年には60歳以降の人口が5億人(人口比率35%)となる見込みであり、高齢社会における社会保障制度に対する課題も示された。

(2)中国国防郵電工会

 新時代の創造には労働者の貢献が必要であり、労働者の地位向上に対する取り組みを強化しているとのこと。日本やドイツの職業訓練のやり方を学び「高匠学院」も創立したという。また日本は現場管理に特徴があり、日本の電機メーカーに学び、現在「チームづくりフォーラム」を開催しているとのことだった。また、モバイル決済の普及に伴い宅配業・宅配員が毎年25%近く伸びており、彼らの権益を守り地位向上を狙いとしたインターネット上での仕組みの構築も行っているとのことだった。

(3)北京汽車集団を訪問

 北京汽車集団は自動車の製造を主業とし、10人以下の航空機の製造やシェアリングビジネス、学校、銀行、投資会社など多角的経営を行っている企業である。約5,000人が働いているという社屋は、上空から見ると自動車の形をしている近代的なビルであった。ショールームには、多くの電気自動車が展示されていた。また立派な社員向け施設もあり、フィットネス設備、本格的な50Mプール、卓球・ビリヤード場、美容室、医務室、宅急便の受け取りなどが完備されていた。全社員に施設内で使用できるモバイルポイントを「500元/月」支給し、社内生活の充実を図り従業員満足度の向上に積極的に取り組んでいるとのことだった。

 主席(委員長)からは、「企業が発展してこそ従業員の利益を守ることになる」「モデル従業員を表彰しており、それが本人の誇りにつながる」「労働コンテストを毎年実施しており、参加率は100%。これまでに、イノベーションリーダーを100名以上育成してきた」さらに、「労働者の権利を守る取り組みが重要。従業員代表制度をより良くしたい」「現場で働く労働者、生活が苦しい労働者を助ける取り組みに注力している」「企業の社会的責任を果たすためボランティアにも取り組んでいる」「メーデー前には家族イベントを開催している」などの言葉に正直驚いた。新たな時代の新たな労働運動の構築を目指している、とのことだった。

気づき

(1)アグレッシブな姿勢

 定期協議の意見交換においても、工場視察においても、中国のアグレッシブな姿勢に驚くと共に、強さの秘密を見たように感じた。「イノベーションが起きる要因」を尋ねたところ、それは「失敗を恐れないこと。失敗しても、それを認める風土」との答えだった。

(2)仕事に対する価値観

 「日本において中国人の定着率が低いのはなぜなのか?」との問いに対しては、「将来性を感じているか? 賃金などの待遇に満足しているか?(年功型、持ち株)、感情(愛着)を感じているか?(賞など誇り)」が大事との答えだった。

(3)リーダー不在時代の世界秩序

 米中対立に対して、5Gの覇権争いは世界発展のためにならない。WTOの国際的ルールづくりを進めるべきだと思うが、どう考えるか? と質問してみたが、予想通り無回答だった。少し視点は違うのだが、COP25の結果を見ても、国際ルールづくりが困難な時代になっていると感じる。自国最優先主義が進行する中、世界秩序を構築するにあたりリーダー不在の時代を迎えたと言えるのではないだろうか。

むすび

 今回の中国訪問は、大変な刺激を受けただけでなく、これからの労働運動を考えるにあたり大変有意義な経験となった。世界で起きていることを冷静に受け止めると共に、自らの意識改革、行動改革に繋げたいと思った次第である。

 そして、今年一年、お世話になった皆さまに心から感謝を申し上げると共に、良い正月をお迎えいただきたいと願う。来たる新年が皆さまにとりまして実り多き年となりますように。

Photo
現地工会の訪問時、陝西省総工会主席/陝西省人民大会副議長と
会見中の場面において

中央執行委員長 野中 孝泰

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