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おたすけマニュアル

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(2)倒産への備え

1.日常の経営分析と資料収集
日ごろから怠りなく準備しておくことが、倒産対策では最も大切なことの一つです。集める資料には以下のようなものがあります。
1.興信所による企業信用調査・インターネットから入手
2.決算報告書(貸借対照表・損益決算書・キャッシュフロー計算書)、資金繰り表
3.(上場企業の場合)会社四季報、有価証券報告書
4.法人登記簿謄本
5.不動産の登記簿謄本
6.不動産の評価証明書
7.就業規則・労働協約などの諸規定
8.取引銀行・預金口座
9.会社の売掛債権一覧・財産一覧表

会社の経営状態を日常的に把握し、経営の悪化や倒産の危険性について、できるだけ早く察知することが重要です。倒産状態に陥ってから準備を始めたのでは遅すぎます。

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2.労働協約と法人登記

1.非常時に至る前の平常時に、解雇、事業所閉鎖、M&A・会社分割等についての労働協約を締結しておくことが重要です。 2.期間の定めのない労働協約は、非常時に効力を失う危険性があります。非常時に備えて、労働協約には期間の定めを設定しておくべきです。自動更新条項を設けても良いです。 3.平常時に労働組合の法人登記を済ませておくと、非常時に役に立つ場合が少なくありません。

通常解雇、整理解雇、事業所閉鎖に伴う解雇や配転、倒産などについて、一人一人の労働者が個別に、使用者企業に対して、立ち向かっていくことは容易なことではありません。
これらの問題については、労働組合が使用者企業との間で、団体交渉を行い、労働協約を締結することによって、使用者の動きを規制することが可能になります。 労働協約では、特に以下の事項が重要になります。

【日常的に発生する個別的な解雇問題等に関して】

(ア)組合との事前協議を義務付ける
(イ)組合の事前同意を義務付ける

【整理解雇や事業所閉鎖等の経営全体にかかわる事項に関して】

(ア)経営情報開示
(イ)雇用、労働条件にかかわる事項について、組合との事前協議を義務付ける
(ウ)整理解雇、希望退職募集等の際の労働者の選定基準や諸労働条件については、組合との事前協議を義務付ける
こうした労働協約は、倒産時の全員解雇、会社更生法等による事業再編に伴う大幅人員削減や配置転換等の非常時にも、大変有効に働きます。

【労働協約の有効期間】

労働協約の有効期間は、労組法15条で、次のように定められています。
有効期間の定めがある場合=その期間中有効。ただし最長3年まで
有効期間の定めがない場合=一方当事者が解約するまでの期間、いつまでも有効。
一方当事者は、90日以上前に解約予告することで、解約できる。
有効期間の定めのない労働協約は、平常時には改定の手間が省けて便利なように思いがちですが、いざという時に無力化する危険性や経営者の横暴を許す隙があります。有効期間のある労働協約の方が優れていますが、有効期間の管理、改定交渉、調印作業は、日常きちんと行う必要があります。

【労働組合の法人登記】

労働組合が法人登記を持っていることによる便利な点が2つあります。一つは、労働組合が組合事務所等の不動産を取得する場合であり、もう一つは、会社経営が危機に陥った場合に、営業継続・労働債権確保等のために、資産や財産の譲渡を受けたり管理を引き受けたりする登記等の手続がやりやすいということです。労働組合が法人登記する場合1~3カ月程度の期間を要しますから、非常時に登記手続をしていたのでは間に合わないことが考えられます。

3.情報収集と兆候

1.会社の経営状態について、組合独自の情報収集が必要です。
2.情報収集にあたっては、団体交渉、労使協議会、非公式折衝や組合員からの聴き取りなどあらゆる手段を活用します。
3.会社が倒産するまでには必ず兆候がありますから、それを見逃さないようにします。

会社の経営状態について、労働組合は、会社とは別の情報を収集し、経営者から出される情報が正しいものかどうかを独自に判断できる体制を作る必要があります。労働組合は、団体交渉、労使協議会などの折衝から情報を収集すると同時に、組合員からできるだけ正確な情報を入手する必要があります。
入手した会社の経営にかかわる情報は、どの範囲までその情報を伝えるかに応じて、労働組合の三役レベル、執行委員レベル、代議員レベル、組合員レベルと、区分けして管理する必要があります。労働組合の正確な情報収集と判断により、組合員の悲劇を未然に防ぎ、組合員の不安を払拭することができます。
会社が倒産するまでには、必ず前兆があります。例えば、次のような兆候には注意が必要です。

メインバンクが変わる
知らない人物が会社に出入りする
抵当権が新に設定される
会社について「不渡手形を出しそうだ」などの変なうわさが囁かれる
中枢の人物が辞めて人事異動が激しい
支払条件が悪くなる
融通手形が出回る
不良債権の発生が多すぎる
取引方法が異常になる
多額な債権譲渡の登記が行われた
代表者が会社にいなくなるか、連絡がつきにくくなる
税金、社会保険料の滞納
追加融資を頻繁に要請する
重要な資産を処分する
大口取引先の倒産、取引停止、取引条件の極端な悪化
親会社から役員を送り込まれる
親会社がリストラを実施
就業規則の一方的な不利益変更(賃金、退職金の極端な減額の提案)
上場企業の場合は、株価の極端な低迷

なお、賃金の遅配・欠配といった事態は、赤信号であり、そのような場合には、組合は倒産に備えた準備を速やかに始めるべきです。

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