電機連合

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電機連合TOPICS

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第65回定期大会 委員長挨拶

全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会
中央執行委員長 野中 孝泰
2017年7月3日

電機連合は2017年7月3日~4日に、神奈川県横浜市で第65回定期大会を開催しました。

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野中中央執行委員長の挨拶は以下の通りです。

【目 次】


 電機連合第65回定期大会に全国各地からご参集頂きました皆さん、大変ご苦労様です。
 またご多用の中、激励のため、連合から神津会長、金属労協から相原議長、インダストリオール・グローバルユニオンからは松崎ICT電機・電子担当部長、民進党からは野田幹事長をはじめ、社会に貢献する電機産業を考える会の、大塚耕平参議院議員、後藤祐一衆議院議員、そして全労済からは中世古理事長にお越しいただいています。
 また大畠政治顧問、石上政治顧問、矢田政治顧問、そして「浅野さとし」組織内公認候補にもおいで頂いております。
 ご来賓の皆様方の日頃からの電機連合に対しますご指導とご厚誼に、組織を代表して御礼申し上げると共に、あらためて会場の皆さんの大きな拍手で御礼に代えさせて頂きたいと思います。
 本日は大変ありがとうございます。

 冒頭、皆さんと一緒に黙祷を捧げて頂きましたが、本年2月7日に中村正男名誉顧問がご逝去されました。あらためまして、故中村正男さんのご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

 まずはじめに、本定期大会で新しく「フクダコーリン労働組合」「エンドレスハウザー山梨労働組合」の皆さんに電機連合本部に直加盟をして頂くことになっています。
 皆さんと共にこの2組織の加盟を心から歓迎し、大きな拍手で、今後の活躍をご祈念申し上げたいと思います。
 また、第1号議案に記載の通り、一括加盟組織においても多くの仲間が加わったことも、併せてご報告しておきます。その結果、組合員総数で昨年の定期大会時よりも1,037名の増となりました。組織拡大にご尽力された関係者の皆さんに心から御礼申し上げます。

ますます不透明で不確実性が高まっている世界の情勢

 さて、私達を取り巻く情勢について3点申し上げたいと思います。
 1点目は、世界情勢についてです。
 英国の国民投票によるEU離脱の決定、米国トランプ大統領の誕生や、その後のTPP離脱やパリ協定からの離脱発言など、自国優先の保護主義や反グローバリズムの台頭により、国際秩序の乱れや国際的な合意形成の難しさが浮き彫りになっています。また、国際平和を脅かす北朝鮮問題など、世界の情勢はますます不透明で不確実性が高まっている時代を迎えていると言っても過言ではないと思います。

 また 新自由主義の行き過ぎが、富の再配分機能の不全を招き、貧富の格差の拡大・固定化を招き、社会の分断を生み出していますが、このことを私たちは「対岸の火事」にしてはならないと思っています。

「国民の参画」と「政治のリーダーシップの発揮」が極めて重要

 次に、国内情勢についてです。
 世界に先駆けて進む「人口減少、少子・超高齢化、生産年齢人口の減少」という問題に、私たちがどう立ち向かうのか? 最大課題と言っても過言ではないと思っています。とりわけ社会保障のあり方論議は先送りできない課題です。財源は、私たちの税金と社会保険料であり、そう言った意味では社会保障は国民と政府との共同事業であると思います。給付と負担をめぐる各層、例えば世代の問題、例えば性別の問題、企業規模、公民など、意識の違いを乗り越えて、持続可能な社会保障制度を再構築しなくてはなりません。そこで大事なのは「どんな社会をめざすのか?」というめざす姿の共有であり、そのために、国民の衆知を集めた論議が大切です。
 また、「格差拡大や不安定雇用の問題」「安全保障問題」「複雑化する外交問題」「エネルギー問題や環境問題」「国の財政健全化問題」、そして「内需を重視した国内経済基盤の立て直しの問題」など、課題はまさに山積みです。
 さらに、東日本大震災から6年4ヵ月、熊本震災から1年3ヵ月が経過をしていますが、いまだに避難生活を多くの方々が余儀なくされています。復興はまだまだであり、風化させてはなりません。
 申し上げましたこれら課題の解決に向けては、「国民の参画」と「政治のリーダーシップの発揮」が極めて重要であると思います。

第4次産業革命を電機産業の成長の追い風に

 そして3点目、電機産業の情勢についてです。
 近年、第4次産業革命と呼ばれるIoT、ビッグデータ、人工知能、ロボティクスなどの多くの革新的技術が、従来にないスピードとインパクトで広がりをみせています。
 政府は、「ソサエティ5.0」の実現をめざし閣議決定した「未来投資戦略2017」の中で、今後、医療・介護や自動走行といった分野に資源を集中投資していくとしています。電機産業が持つ高品質なものづくり技術やスーパーコンピュータ技術、高いシェアをもつロボットやセンサー技術、世界最先端の高速データ通信網などの強みを活かし、これらを電機産業の成長の追い風にしなければなりません。
 また、第4次産業革命は、ビジネスのあり方を変え、産業構造、就業構造に変化を起こすと言われていますが、こうした動きに関連して、私たちの働く現場で求められるスキルや知識、働き方そのものも変化していくことを想定し、備えなくてはならないと考えています。

 次に当面の課題について、6点申し上げます。

さまざまな角度からの取り組みが求められる総合労働条件改善

 「雇用に対する不安」「生活に対する不安」「将来に対する不安」の払拭が、まず大事という考え方を継続して持ちたいと思います。これら「3つの不安」の払拭に向けた取り組みは、労働運動として重要であり、その解決に向けては「企業内」のみならず、「社会を動かす」ことや、助け合いである「共済」も含めた取り組みであるいうことを、あらためて総合的に労働条件を改善する考え方として提起したいと思います。
 その際に重視したいのが「人への投資」の考え方です。「人への投資」はまさに組合員の生活の維持・向上に加え、一方では企業競争力の源泉でもあります。従って、それぞれの「人」が持っている能力や可能性を最大限に引き出すための「人への投資のあり方」、このことを労使で深く考えなくてはならないと思っています。例えば、「第4次産業革命に主体的に臨むための人材開発投資」や、例えば「不安の払拭につながる人への投資」のあり方など、今日的課題の深掘り論議が必要だと考えています。
 また日本経済の自律的な成長を促すためには、個人消費に支えられた内需拡大による経済構造を実現していくことが極めて重要だと考えています。そのためにも3つの不安払拭につながる「賃上げの継続性」や、その「拡がりと底上げ」、これらは重要な課題です。 さらには、電機産業の持続的成長に向けて、電機産業に働くすべての労働者の雇用と処遇の改善、とりわけ「最低賃金の改善」についてもしっかりと取り組んでいかねばなりません。
 そして、労働組合自らができる不安の払拭と可処分所得の向上に寄与する取り組みとして、共済運動の強化も必要です。電機連合は、そのスケールメリットを活かした独自の共済として、「ねんきん共済」「けんこう共済」「ファミリーサポート共済」、そして「介護特約制度の新設」など制度を充実してきました。福祉共済センター設立30周年を機に、あらためて共済運動の充実・強化を図りたいと思います。加入促進の中期目標として、組合員の40%加入をお願いしていますが、各組合におかれましては、目標達成に向けた取り組みの具現化をお願いします。

長時間労働の是正と働き方改革

 本年3月28日、安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」が開催され、「働き方改革実行計画」が決定されました。実行計画には、長時間労働の是正や非正規雇用労働者の処遇改善など、これまで労働組合が求めてきた政策と重なる部分も多く含まれており、これらについて社会的なコンセンサスが形成されたことの意義は大きいと考えます。
 とりわけ罰則付き時間外労働の上限規制導入は、労働基準法70年の歴史の中で特筆すべき大改革であります。ただし、継続審議となっています高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の見直しを盛り込んだ労働基準法改正案は、職場の実態からしても逆に長時間労働の助長に繋がりかねないものであります。引き続き注視し、連合・JCMとも連携を図りながら必要に応じた対応を行って参りたいと思っています。
 また、 2017年闘争では「長時間労働の是正をはじめとする働き方改革に向けた電機産業労使共同宣言」を確認しました。この「労使共同宣言」は、 電機産業に働くすべての労働者が安全で健康に働き、働きがいをもって自らの能力を最大限発揮できる環境を整備するために、労使が相互に協力し取り組みを一層強化していく決意を内外に示したものです。
 これまで、各職場では、様々な取り組みがなされているものの、リーマンショック以降、年間の総実労働時間は増加傾向となっており、とりわけこの3年間は毎年2,000時間を超える状況に至っています。社会的な課題となっている長時間労働による過労死を絶対に出してはなりません。まずは「職場で時間管理がきちんと出来ているのか?」「上司と部下の間や、働く仲間との間でコミュニケーションがキチンと取れているのか?」「職場には相手を思いやる気持ちや助け合いの雰囲気が築かれているか?」など、当たり前の事を当たりまえに実践できる職場風土を作っていくことが大切だと考えます。
 長時間労働の是正を始めとする働き方改革は、労使自治の問題として職場を熟知している労使が責任を持って取り組まねばならないと思います。
 そして、労使論議を通じて、それぞれの職場で「働くことの意味」や「働きがいとは何か?」「働きがいを高めるために、どうすべきか?」などあらためて深く話し合い、そして「ワーク・ライフ・バランス」さらには「ディーセントワーク」の実現に結びつけていかねばなりません。
 これを機に、「人を活かす、人が活きる」、そのための労働環境の整備や職場マネジメントの向上に労使で真剣に取り組むスタートにしなければなりません。それぞれの職場で様々な取り組みが進められ「人を大事にした経営」が実践され、広がっていくことを期待したいと考えます。
 しかし、長時間労働の是正や働き方の改革は当該職場の努力だけでは解決出来ない問題でもあります。社会全体の価値観を変えていく運動にすべく、電機連合は政党・省庁との政策協議や、工業会との連携、電機産別労使懇談等を通じて、引き続き広く内外にメッセージ発信を行っていきます。
 また、今後、非正規労働者の処遇改善に向けて、「同一労働同一賃金」に関わる法改正の審議が予定されています。本件については、電機連合が持つ「働き方の多様化に対応した均等・均衡処遇の実現に向けた基本的な考え方」を踏まえるとともに、加盟組合からの意見も伺いながら、現場の実態にあった現実的な制度となるよう、組織内議員や連合・JCMと連携して政党・省庁へ働きかけを行っていきたいと思います。

組織力強化と仲間づくり

 先月、阿蘇の麓にあります加盟組織を訪問しました。「3ヵ年計画で、2名を除く全ての契約社員128名を正社員に転換が完了したこと、そして、それぞれの皆さんのモチベーションが明らかに変わった」との状況をお聞きしました。
 今まさに私達が取り組んでいます労働契約法18条「有期契約労働者の無期雇用への転換」の対応を先行して取り組まれておられました。労使のみなさんとの、その後の意見交換では、「事業を支えるには人がまさに財産である」ということの印象を強く受けました。
 2003年9月、 中坊公平氏を代表とする「連合評価委員会の最終報告書」において、今の労働組合が「大企業で働く男性社員のためにあるように見える」「世の中の不条理に対する怒りを感じない」とか、「労働運動が、国民の共感を得るものになっていない」と指摘をし、「こんな時代だからこそ、労働組合に頑張って欲しい」と提言されています。
 今や、雇用労働者の4割にもなっている非正規労働者の声を、誰が真剣に聞いているのでしょうか? 彼らは、どこに自分たちが抱えている悩みを言っていけば良いのでしょうか? 組織化の取り組みは、働く者の代表として労働組合が果たさねばならない社会的責任であり、役割だと考えています。
 電機産業には、いまだ多くの未組織労働者がいます。その皆さんの働くことの尊厳と権利を守るために、「仲間づくり」ということを、労働運動の柱の一つに位置づけ、構成組織、地協、そして本部の連携をさらに密にし、電機連合の総力を結集した取り組みとして、組織拡大の強化をしていきたいと思います。
 組織化の取り組みは、当該組織が抱える様々な課題があり、一律にマニュアル通りとはならないのも事実です。お互いに学び、よく相談しながら進めていくことも重要だと思います。新年度は縦と横の連携強化の取り組みとして、一括加盟組織事務局長と地協事務局長の合同会議を開催していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

日本の民主政治の危機に対して

 今国会で「テロ等準備罪」法案が成立しましたが、国会でのやり取りを聞いていても「テロ政策との関連や必要性」があいまい、また、「一般人も含め監視される社会になっていく」との指摘に対しても説明責任が十分果たせたとは言い切れないのではないかと思います。
 実際どうなるのか、ハッキリせず、国民として余り理解できていない状態のまま可決してしまったという印象を強く持ちました。今回のように、数の論理で採決が加速され、物事が決まっていくとすれば、そのことに対して大きな不安や危機感を抱いている人は多いと思います。
 「一強多弱」という言葉に象徴されるように、政治のバランスが壊れはじめており、そのことに対して「日本の民主政治」に危機感を強く感じました。
 「日本の民主政治を守るために何をなすべきか?」このことを真剣に考え、行動を起こさないといけない時が今だと皆さんに訴えたいと思います。政治は、国民の声にもっと耳を傾け、私達国民の声を正しくタイムリーに国政に反映していく必要があると思います。
 そして、主権者である私達自身が、政治に関心を持ち、参画していくことこそが大事であると思います。「関心から参画へ」の取り組み強化に産別としてもやっていきたいと思います。
 昨年9月より着任頂いた加藤敏幸政治アドバイザーや「社会に貢献する電機産業を考える会」の議員の皆さんと連携し、政治に対する関心を高め、参画を促す取り組みを行って参ります。

 昨日東京都議会選挙が行われ、その結果、「都民ファーストの圧勝と自民党の歴史的惨敗」報道が踊っています。今回の選挙で、議席数を増やした政党は3つあり、都民(6→55)、公明(22→23)、共産(17→19)。逆に議席を減らした政党は、自民(57→23)、民進(7→5)、東京生活者ネットワーク(3→1)。都民の期待の受皿になり得なかったということだと思います。
 民進党は、前回の都議選で、旧民主党選挙前の43議席から15議席に減らし、さらに今回5議席に減らしたことになります。しかし、そんな厳しい状況下にあっても、三鷹市において、電機連合議員団の中村洋さんは、民進党として当選することが出来ました。
 これは日頃からの地道な活動で築いてきた、市民、都民の皆さんとの信頼のおかげだろうと思います。また選挙を戦っていただいた、東京地協の皆さんにも、敬意と感謝を申し上げます。
 日本は今、これからの針路を決める極めて重要な時期であると思います。国民の衆知を集め、日本の将来、進むべき方向を決めて行かねばならない時期です。
 そうした時期だからこそ、緊張感ある政治体制が必要だと思います。民進党には是非、頑張って頂きたい。
 国民の信頼、組合員の信頼を取り戻すために、民進党には「今は国政運営に緊張感を与える野党」として、「将来は再び政権を担当する能力がある政党」であることを行動で示して頂きたいと願っています。
 また、電機連合の各地協からは「民進党の地方組織の立て直しや強化が必要」との声が多く寄せられています。私達が、「だから民進党を支援するのだ」と自信と誇りを持って言えるよう、本日は野田幹事長にお越し頂いていますので、民進党に対する期待として申し上げたいと存じます。

総力を結集し歴史ある議席を守る

 衆議院解散の時期については、様々な憶測が飛び交うものの、来年2018年12月には任期満了しますので、常在戦場という認識で「浅野さとし」必勝に向けて「今やるべきこと」を着実に積み重ねることが重要であることに変わりはありません。
 選挙区内における組織人数の減少や、新人であるが故の知名度の低さというハンデを跳ね返すべく、精力的に取り組んでいますが、情勢は依然、大変厳しい状況であります。「このままでは危ない!」という危機意識を共有したいと思います。
 その上で、あらためて各組織、各地協での紹介カードの取り組みに全力を傾注頂き、一人でも多くの紹介をお願いします。電機連合として、茨城地協、日立グループ連合と連携を一層強化し、総力を結集して「浅野さとし」の必勝をめざして参ります。
 そして、その勢いを次の参議院議員選挙に繋いでいきたいと思います。今から2年後の2019年7月が選挙となりますが、私たち働く者の代表をキチンと国政の場に送り出していくことが重要と考えています。そのためには、常日頃からの取り組みが重要であり、石上としおさん、矢田わか子さんを大会・中央委員会はもとより、労使政策制度セミナーや各種学習会などできる限り多くの場に呼んで頂き、組合員の政治への理解と参画意識の醸成に繋げて頂きたいと思います。
 第25回参議院議員選挙は電機連合の総力を結集して、歴史ある議席を守って参りたいと思います。皆さんのご理解とご協力をお願いします。

国際労働運動の強化

 グローバル化の進展に伴い、構成組織企業における海外での労使紛争が増加傾向にあります。 私達が働く電機産業は、世界の人々の暮らしを豊かにし、世界文化の発展に貢献するという使命を持った産業であります。従って、この産業を牽引する企業は、世界の人々からリスペクトされる企業でなければならないと私は思っています。
 そのためには、勝ち負けではなく「共存共栄」という価値観や、信頼に基づいた「建設的な労使関係の構築」が大事だとあらためて感じています。
 一方で、それぞれの国々で労働組合の位置付けや取り巻く環境に違いがあることを認め合うことも大事だと思います。その上で、労働組合、労働運動に対する考え方や価値観を共有することが大切であると思います。
 グローバル化が進む中で起きている様々な課題にも、私たちが主体性を持って解決に向けた行動を起こすことが大事であると感じており、JCMとの連携を図る中で国際労働運動に対する取り組みの強化を図っていきたいと思います。

 時間の関係で触れる事が出来なかった課題も多くありますが、代議員の皆さんの真摯で活発な議論をお願いし、本部を代表しての挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

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