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労働組合の役割

組合だからできること、働く人と会社、それぞれにとっての嬉しい効果についてご説明します。

労働組合があったなら

一人では難しい

一人では難しい

 たとえば、賃金や長時間労働。あるいは職場環境、育児・介護と仕事の両立など、働く中で生じるさまざまな不安や悩み、疑問。それらを解決するには、どうすればよいでしょうか。家族や友人、同僚に相談する人も多いでしょう。しかし、話すことで気持ちは軽くなったとしても、根本解決は難しそうです。上司に訴える人もいるかもしれません。ですが、相手も忙しくて、話は聞いてもらえたけれど実際には何も変わらない...ということもあるでしょう。それならまだよい方で、場合によってはにらまれたり相手にされなくなったりして、改善どころか危うい立場に追い込まれることになるかもしれません。そう考えると、思うことはいろいろあっても、大人しくじっと耐える、再就職先を探して飛び出す、公的機関に訴える...といった道を選ぶしかなさそうです。しかし、組合があれば違う道が開けます。

まとまることで強くなれる

 賃金や労働条件などの問題を一人ひとりがバラバラに会社に要求しても、改善にはなかなか結びつかないのが現実です。そもそも、一人で会社に訴えるというのは簡単なことではありません。しかし、労働組合があれば、職場のさまざまな問題を会社と対等な立場で交渉する権利が保障されます。労働組合という「組織」として課題に対応することによって、個人がパワハラを受けるリスクを減らすこともできますし、従業員の「総意」として要求することができるので、会社に対する発言力も強くなります。

労働組合があると何が変わる?

和気あいあいと意見交換・話し合いをしている様子

ほかにも、次のような効果が期待できます。

①組合員の意見や不安、疑問、悩みなどを会社に伝えやすくなり、職場の風通しが良くなります。
②職場のルールや賃金・労働時間などを労使の話し合いで決められるようになり、労働条件が改善されます。
③不当な解雇や安易なリストラなどがなくなり、雇用が安定します。
④働きぶりが公正に評価され、納得して働ける職場環境に改善されます。
⑤経営に関する情報が入りやすくなり、透明性が増します。
⑥倒産や事業譲渡などの万が一のときに、身を守る大きな力となります。

組合がなくても働くことはできますが、あった方がより安心して、気持ちよく働くことができるようになります。
また、これらの実現には、組合員一人ひとりが互いに協力し合って活動を進めていくことが必要になりますので、結束力が高まります(逆に言えば、「誰かがやってくれる」と他人任せになってしまったなら、せっかく組合をつくっても期待する効果が得づらくなってしまいます)。

労働組合は会社の敵??

目指すところは同じ

 職場の声を会社に伝え、要求を一つひとつ実現し、より良い労働条件を確保して、働きやすい職場環境をつくり上げる。それが組合の大きな役割です。ただしそれは、会社の成長・発展があってこその労働条件の維持・向上であり、そういう意味では会社も労働組合も目指すところは同じだと言えます。春闘などの交渉シーンを思い浮かべて、労使=対立のイメージを持つ人もいるかもしれませんが、会社の成長・発展には労使の協力が必要不可欠です。

会社にプラス効果をもたらす労働組合

 労働組合が果たす役割は、労働条件や労働環境の改善ばかりではなく、会社経営にとっても多くのメリットがあることが、各種調査から実証されています。

組合役員が組合員の相談に乗っている様子

 連合総研が行った「中小企業における従業員代表制と労使コミュニケーションの実態研究(2002)」によると、「労働組合がない」企業に聞いた「労働組合があった方がいい」と思う理由として、下記が挙げられています。

  1. 方針を従業員に理解してもらえる
  2. 経営改善の意見を言ってくれる
  3. 従業員の不満を聞き解消してくれる
  4. 労働条件決定の際、主張が参考になる
  5. 品質や工程改善に取り組んでくれる

 また、厚労省による「平成26年労使コミュニケーション調査」を見ると、労使関係について「安定的に維持されている」と認識している企業は、労働組合のない企業では2割強(23.2%)であるのに対し、労働組合がある企業ではおよそ半数(49.7%)となっています。
 そのほか、経済産業研究所・森川正之氏が行った「日本の労働組合と生産性 ―企業データによる実証分析―(2008)」によると、労働組合がある企業の労働生産性は、労働組合がないところより2割ほど(20.4%)高くなっています。

まとめると、労働組合があることで次のような効果があると考えられます。

◆業績の向上に貢献します
労使が協力し合ってよりよい職場環境をつくることは、従業員に安心・安定、働きがいをもたらします。働きやすい職場になると従業員の意欲も高まるので、業績の向上に貢献します。

◆労使間の情報共有が進み、経営効率がアップします
労使協議会の定期的な開催などにより労使間の情報共有が進むと、無駄の削減につながり、経営の効率的な運営が図られます。

◆職場の雰囲気がより良くなります
組合活動を通じて従業員同士のコミュニケーションが促進されるので、職場の雰囲気がより良くなります。

◆個別労使紛争を未然に防ぎ、コンプライアンスの強化につながります
労働組合を通じて、従業員の意識や不満、改善に向けた意見などを知ることができるので、問題が深刻化する前に対応することが可能になります。また、職場で起きている問題をいち早く把握できることで、コンプライアンスの強化にもつながります。

◆企業内の人材育成に寄与します
労働組合の役員を経験すると、組合活動を通じて視野が広がり、コミュニケーション能力、折衝能力、分析能力、リーダーシップなどが向上します。人としての成長が図られますので、結果として企業内の人材育成になります。

労使協議の効用

労使対話の重要性

...。労使対話は、課題解決機能の維持と強化に効果的である。...。

 連合総研が行った「中小企業における従業員代表制と労使コミュニケーションの実態研究(2002)」によると、労使協議会機関の有効性について聞いたところ、労働組合がある場合「有効だ」とする回答が61.1%となっています。「まあ有効だ」とする33.5%を加えると、94.6%にも上ります。
 また、経団連が発行している『経営労働政策特別委員会報告』の2016年版には、労使対話の効果について次のように記されています。 「労使協議や職場懇談会を通じた労使対話は、実施企業の多くがその成果を認めており、わが国企業の経営上の強みである集団的な課題解決機能の維持と強化に効果的である」

どんな議題を協議するの?

 組合と会社は年間を通じてさまざまな課題について協議を行っており、労使間での情報共有や課題解決を図っています。

【労使協議機関に付議する事項】
労使協議機関に付議する事項

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