電機連合

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電機連合TOPICS

電機連合の活動報告、最新情報についてお知らせ致します。

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第104回中央委員会 委員長挨拶

全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会
中央執行委員長 野中 孝泰
2018年1月25日

電機連合は2018年1月25日~26日に、神奈川県横浜市で第104回中央委員会を開催しました。

第104回中央委員会 委員長挨拶

野中中央執行委員長の挨拶は以下の通りです。

【目 次】


 電機連合 第104回中央委員会にご参集の皆さん、大変ご苦労様です。本日は国会対応の大変ご多用の中、本中央委員会に民進党から大塚代表、石上としお政治顧問、そして矢田わか子政治顧問にお越しいただいています。
 また明日は、金属労協を代表して髙倉議長、立憲民主党の枝野代表、希望の党の玉木代表、そして浅野さとし衆議院議員にお越しいただけると伺っております。大塚代表、枝野代表、玉木代表は「社会に貢献する電機産業を考える会」のメンバーでもあります。
 ご来賓の皆様方の日頃からの電機連合に対するご指導とご厚誼に、組織を代表して御礼申し上げると共に、改めて会場の皆さんの大きな拍手で御礼に代えさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございます。

 冒頭、皆さんと一緒に黙祷を捧げましたが、改めまして、故中村正武さん、故井上正則さんのご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 今回の中央委員会では、任期途中ではありますが、電機連合役員の補充選挙を実施いたします。これは、昨年10月開催の連合定期大会における役員交代に伴うものであります。ご理解とご協力をよろしくお願いします。

新加盟組合を心から歓迎

 はじめに、本中央委員会第1号議案で提起の通り、新しく「スタッフサービス労働組合」の皆さんに電機連合に直加盟をしていただくことになっています。また「Tianma Japan労働組合」「シャープ新潟電子工業労働組合」「JVCケンウッド・サービス労働組合」「JVCケンウッド・パートナーズ労働組合」の皆さんが一括加盟組織から加盟形態を変更し電機連合に新たに直加盟していただくことになっています。皆さんと共に、加盟を心から歓迎し、今後のご活躍を祈念申し上げ、大きな拍手を送りたいと思います。

 また、第1号議案に提起の通り一括加盟組織においても多くの仲間が加わったこと、更に地協直加盟組織があったことも合わせてご報告します。この結果、電機連合は230の加盟組織、635の構成組合、564,980名の組合員となりました。組織拡大にご尽力された関係者の皆さんに心から御礼申し上げます。

組織拡大について

 組織拡大は仲間づくりであり、働くことの尊厳や権利を守るため取り組みであると申し上げています。先日、ある労働組合の結成大会に参加をさせていただきました。その際に準備委員会を代表して挨拶をされた方が、従業員会の皆さんに、なぜ労働組合が必要なのかを説明し理解・納得の上で、労働組合結成に賛同いただくことがとても大変だったと話されていました。その話の中で、自らのその時の気持ちを例えて紹介された南アメリカの先住民に伝わる「ハチドリのひとしずく」という伝説がとても印象的であり、感銘を受けたので紹介させていただきます。

 森が燃えていました。森の生きものたちは、われ先にと逃げていきました。でもクリキンディという名のハチドリだけは、いったりきたり、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑います。クリキンディはこう答えました。「私は、私にできることをしているだけ」

 このお話を聞きながら、新しく結成する労働組合へ全員が加入して欲しいと願い、一人ひとりの方々に、膝詰めでひたむきに接してこられた姿を想像し、思わず目頭が熱くなりました。仲間づくりは電機連合運動の大きな柱の一つです。構成組織、地協の皆さんの取り組み強化を是非お願い申し上げます。電機連合の総力を結集し組織拡大に取り組んでまいりたいと思いますのでよろしくお願いします。

2018年闘争

2018年闘争の意義

 私たちは、これまで4年間、生活の維持・向上を図りデフレ脱却と経済の自律的成長に向けて賃金水準改善に真剣に取り組んでまいりました。この取り組みは、持続可能な社会の再構築に向けて、政労使が課題を共有し、それぞれの持ち場・立場で責任を持って対応を図ることだと受け止めています。

 日本が抱える社会的な課題に対して、政治が責任を持って解決するべきこと。あるいは企業として、あるいは労働組合として責任を持って解決すること。テーマによっては、「労使が協力して」あるいは「政労使の枠組みで」課題解決を図らなければならないと考えています。他国に例のない「春闘の仕組み」を最大限に活かす「社会的責任型闘争」としての責任を引き続き果たしていきたいと思います。

 2018年闘争では、基本コンセプトを「『生活不安、雇用不安、将来不安』の払拭に向け、継続した『人への投資』に取り組むとともに、『働き方改革』を推進する」と定め、取り組みを展開したいと思います。

賃金水準改善は「継続性」と「波及の最大化」にこだわる

 とりわけ賃金水準改善については「継続性」と「波及の最大化」を重視して取り組みたいと思います。日本経済における外需の取り込みは大変重要です。しかし世界情勢の不確実性が更に高まっている中での外需依存には不安が伴います。「強固な日本経済の構築」に向けて、内需と外需のバランスが重要です。そのためにも、個人消費や国内設備投資に支えられた内需の活性化が非常に重要な取り組みであり、実質生活の維持・向上を図り、個人消費を喚起するためには、継続した賃金水準改善が必要だと考えています。加えて「賃金は上がるものである」という認識を皆が持つことで、デフレマインドからの脱却も必要です。

 電機産業の好調な業績動向や賃上げに関する社会的要請と期待、その一方でグローバル競争を戦っている現場の実態などを踏まえ、これまで慎重に検討を重ねてまいりました。可処分所得はリーマンショック前には戻っておらず、労働分配率も低下傾向が続いています。そして何よりも、「人への投資」を通じ、電機産業の継続的発展に導いていく必要があります。

 また、電機産業発展のための人材確保という視点も極めて重要になっています。世の中の人材不足感が電機産業にも直撃をしているからです。従って今次闘争では、特に「高卒初任給」に対して戦略的な取り組みを提起しています。

 さらに、賃上げの波をグループ内組織・中小労組・非正規雇用者へと広げなくてはなりません。「底上げ・底支え」「格差是正」の観点からも、さらに一層の取り組み強化が必要です。そのためにも、まずはより多くの皆さんの闘争への参加をお願いします。
 電機連合統一闘争の特徴は「労働条件の向上と波及効果の最大化」であります。その真価を発揮する闘争にしていきたいと思います。

電機産業で働く全ての労働者の雇用と処遇の改善

 次に電機産業で働く全ての労働者の雇用と処遇の改善について申し上げます。
 とりわけ有期契約労働者の無期雇用契約への転換の取り組みは、皆さんに昨年の闘争時より丁寧に進めていただいていると思います。電機連合としても、昨年末に電経連に対して懸念事項を含め、改めて申し入れを実施しました。電機業界として、労使できちんと取り組みたいと思います。

 昨年秋に実施した「改正労働契約法への対応に関する調査」の中間集計によりますと、有期契約労働者の無期契約への対応状況を労働組合が「把握している 73%」、不合理な雇い止めがないことを「確認している 61%」、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違の有無や相違の合理性について「確認している 61%」という状況です。これらを「100%」にしたい。電機産業は、全ての職場において労使できちんと取り組んでいるという状況にしようではありませんか。

 また改正労働契約法への対応は、労働契約法「18条 無期労働契約への転換」「19条 雇い止め法理の法定化」「20条 不合理な労働条件の禁止」を一連のパッケージとして取り組む必要があります。
 さらにこの対応は、一年だけのことではなく、毎年発生することであります。継続して取り組まねばならないことです。まずは私たち労働組合が本気になって取り組むことが必要です。

長時間労働の是正をはじめとする働き方改革

 通常国会は、働き方改革として労基法に関する「時間外労働の上限規制」「一定日数の年次有給休暇の確実な取得」「企画業務型裁量労働制の見直しや高度プロフェッショナル制度の創設」が審議される予定です。

 電機連合として、長時間労働の是正に向けた時間外労働の上限規制などは、早期実現を求めていきますが、長時間労働を助長しかねない制度の見直しや創設については、必要ないことを基本に、働く者のための働き方改革となる法改正が実現するよう取り組みを行っていきます。

 また、電機産業労使が、昨年確認した「長時間労働の是正をはじめとする働き方改革に関する労使共同宣言」の趣旨に沿った対応をお願いします。働き方改革は、職場を熟知している労使が、労使自治の問題として責任を持って取り組まなければならないと思っています。

 長時間労働による過労死を私たちの職場から絶対に出してはなりません。まずは職場で時間管理がきちんと出来ているのか? 上司部下との間や働く者同士でコミュニケーションが取れているのか? 職場では、相手を思いやる気持ちや助け合いの職場風土は築かれているか? 当たり前のことを当たり前に出来る職場にしていこうではありませんか。

 一方、長時間労働の是正は当該職場の努力だけでは解決できないとの声もあります。サプライチェーン全体での取引慣行が働き方にも大きく影響しており、適正な取り引きに向けて社会全体の価値観を変えていく運動にする必要があります。電機連合は、政党・省庁との政策協議や、工業会との意見交換、産別労使懇談会等を通じて、現場実態把握や課題解決に向けた提言をしてまいりたいと思います。

 今後、働き方改革や生産性向上の論議が進んでまいりますが、「ワーク・ライフ・バランス」や「ディーセントワーク」の実現を伴うものにしなくてはなりません。加えて「働きがい」という視点を持つことが大事だと思っています。競争力の源泉は「人」であり、「働く」を取り巻く環境が大きな変革を迎えていると言っても過言ではないでしょう。一人ひとりが、「働くことの意味」や「働きがい」について今一度考えてみることも重要ではないでしょうか。その上で、労使論議では、働きがいの向上と生産性向上の両立、人が持っている無限の可能性を引き出すための労働環境の整備や職場マネジメントの向上につながる労使論議をお願いします。

付加価値の適正循環

 昨年3月に、電機産業の主要な業界団体から「適正取引の推進とパートナーとの価値協創に向けた自主行動計画」が発表され、9月には経団連をはじめとする経済団体から「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」が公表されており、付加価値の適正循環の推進に向けた社会的な気運は高まりつつあると思います。

 昨年の秋、組織強化期間中にアンケート調査・加盟組織へのヒアリングを実施しました。ご協力に感謝申し上げます。その中で職場実態の一部が見えてきました。紹介しますと「発注後の頻繁な仕様変更に対して支払いがなされない、請求しにくい」「元請からの一方的な価格引き下げ要求を受けた企業が、下請企業にも同様の対応を指示している」「無理な納期設定が長時間労働の要因となっている」など優越的地位の濫用とも取れるケースがあるという実態が寄せられました。しかしその一方で、「下請会社に対して発注前に仕様を提示し、無理のない内容であることを確認してもらった上で見積もりをもらい、その後発注することをグループ全社に展開している」「下請業者への支払い条件を変更し、全額現金払いとした」「下請業者での金型の保管・保守費用は発注元で負担している」など、改善の動きが見えてきた実態も多く寄せられています。こうした良い事例を広げていきたいと思います。

 電機産業内の実態と課題に応じた対策を検討し、「付加価値の適正循環」の取り組みとして、「付加価値の創出」「付加価値の適正配分」「投資」について事例を提示していますので、よろしくお願いします。

統一闘争強化 4年目 真価の発揮に向けて

 電機連合構成組織の特徴は、電機産業の裾野の広さを反映した多くの業種・業態の集合体ということです。従って、2017年度業績見通しは全体としては、明らかに良くなっていますが、未だ構造改革途上の組織があることも事実であり、課題も一律ではないと言えます。
 電機連合統一闘争は、多様性のある組織が結集して統一性を追求するものですが、その意義は「電機産業に働くすべての労働者の労働条件の向上とその波及効果の最大化」であり、「魅力ある電機産業の創造」であります。このことが成り立つのも電機連合構成組織の仲間としての強い結束力があるからこそであり、これまで築き上げてきた電機産業労使の確固たる信頼関係であると思っています。

 統一闘争強化4年目となる今次闘争において、賃金水準の引き上げの回を重ねるが故の難しさも出てくると思いますが、皆さんとの「意思疎通」「合意形成」そして「意思決定」のプロセスを重視して、社会的要請に応え、内外にメッセージ性のある統一闘争にしていきたいと思います。皆さんの改めての意思結集をお願いします。

共済運動

 昨年の大会で、助け合い運動である「共済」も含めた総合労働条件の改善ということを申し上げました。労働組合自らができる不安の払拭と可処分所得の向上に寄与する取り組みとして、電機連合のスケールメリットを活かした共済運動の更なる強化が必要だと思います。

 給付事例を2例、紹介させていただきます。一つは「ファミリーサポート共済」です。ある組合員が重度障害となられました。幸いにも共済に加入しておられたので、給付金を毎月約10万円、15年間にわたり受け取ることができ、本当に感謝されています。また「けんこう共済」ですが、スキー場での衝突事故で1億円を超える賠償金を給付金で賄うことができました。まさに、「人生のまさか」に備え、自らが備えておくことが、改めて重要だと気づきます。
 福祉共済センター設立30周年を機に、改めて共済運動の充実・強化を図りたいと思います。加入促進の中期目標として、組合員の40%加入をお願いしていますが、各組織におかれましては、目標達成に向けた取り組みの具現化をお願いします。

第48回衆議院議員選挙以降の政治動向

選挙のお礼

 昨年10月22日投開票の第48回衆議院議員選挙におきまして、「浅野さとし」組織内公認候補をはじめ、「平野博文」名誉顧問を含む7名の重点推薦候補と各地協からの申請者を含め、計183名の推薦候補を支援し戦いました。結果、「浅野さとし」「平野博文」を含む、計92名が当選を果たすことができました。
 とりわけ「浅野さとし」の取り組みは、これまで、9期 27年の長きにわたりご活躍をいただいた大畠章宏さんがご勇退を決断され、その思いを引き継いでの初陣となる選挙でありました。極めて厳しい選挙戦ではありましたが、当選出来ましたのは、日立グループ連合、茨城地協の懸命の取り組みはもとより、電機連合加盟組織、北関東ブロック各地協の総力結集の賜物であります。改めて心より敬意と感謝を申し上げます。

民進党の分裂

 また、今回の総選挙では、民進党が分かれ複数政党が誕生しました。色々な経過を経て、多様な意見や価値観を背景に、結果として複数政党が誕生したと受け止めたいと思います。
 しかし一方で「お互いの違いを認め合いながら、いかに全体としてまとめ、日本を正しい方向へ導いていくのか? そのための求心力をいかに生み出していくのか?」ということこそがより大事だと考えています。一強政治の歪みはいたるところに出てきているのではないでしょうか。やはり緊張感ある政治体制として政権交代可能な、二大政党的体制をめざさなくてはなりません。その視点からも一つの塊に向けた流れが生まれてくることを強く期待したいと思います。

連合フォーラム紹介

 今後予定されている参議院議員選挙や統一地方自治体選挙に向けて、一体感を持って臨むことが重要だと思います。連合は政策実現を目的としたプラットホームとして、連合組織内国会議員・推薦議員を中心とした「連合 政策・制度推進フォーラム」を設立することになっています。電機連合としても、組織内議員を核としながら参加すると共に、「社会に貢献する電機産業を考える会」の議員の皆さんとも、一つの塊に向けた重要性や期待について一人ひとりじっくり話し合いたいと思います。

民主政治の危機に際して

 また、時代認識の一つとして、「民主政治の危機」があります。国民として、労働組合として、何をなすべきか、が問われていることを強く感じています。政治にもっと参加・参画していくことが大事ではないでしょうか。そのためには、国民として知るべきことを知り、国や地方行政に伝えるべきことを伝え、その結果がどうだったか、評価ができることが大事だと思います。会社の中では当たり前に行っている、政治のPDCA機能の強化が必要だと思います。

第25回参議院選挙

危機感を持って

 第3号議案で、「石上としお」現参議院議員を組織内公認候補として提案させていただきます。
 私たちが政治に取り組むのは、政策制度実現のためであります。そのためには、私たちの代表として「石上としお」を国政の場に再び送り出す必要があります。2期目の選挙は大変厳しい選挙となることを覚悟して取り組まなければなりません。そういう危機感を持ち、電機連合の組織力を最大限に発揮した、正に総力戦で臨みたいと思います。

所属政党について

 参院選・比例代表選挙では、政党票100万票で一人の当選が叶うと考えられます。前回の石上選挙ですと、民主党の比例票713万票で7名の当選人数が確定しました。その7名の当選枠に対して20名の候補がおりました。その20名の中から個人名での獲得票数の多い順番に当選する仕組みです。「石上としお」は、152,121票の個人名票を頂きましたので、上から7番目、7位で当選することができました。比例代表選挙では、政党としての得票数が極めて大事であります。政治に緊張感を持つ「二大政党的体制」の確立に向けて一つの塊ができていくことを期待し、今後の動向を見守りたいと思います。

中央選対の立ち上げ

 本日の中央委員会1日目終了後、石上としお中央選挙対策委員会を速やかに立ち上げ、具体的な行動を開始したいと思います。電機連合の総力を結集して、危機感を持って取り組むこと、そして各々が主体的に考え、ひとり一役担うことを意思統一していただくことを強く要請したいと思います。よろしくお願いします。

結び

 一年に一度の総合労働条件改善闘争ですが、闘争が果たすべき社会的責任は益々重くなっています。今次闘争において、電機連合の総力の結集と結束が何より重要になります。そのことを自覚し、全力で対応していきたいと思います。皆さんのご協力を改めてお願いします。
 また、冒頭で「東北ボランティア」の取り組みをご覧いただきました。東日本大震災が本年3月11日で7年、4月には熊本震災から2年を迎えます。風化させてはいけませんし、復興はまだまだ途上です。電機連合としてもしっかりと支えてまいります。
 時間の関係で触れることができなかった課題や、説明で足りなかったこともあると思いますが、中央委員の皆さんの真摯で活発な議論をお願いし、本部を代表しての冒頭の挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。