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第105回中央委員会 中央執行委員長挨拶

第105回中央委員会 中央執行委員長挨拶

全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会
中央執行委員長 野中 孝泰
2019年1月24日

電機連合は2019年1月24日~25日に、神奈川県横浜市で第105回中央委員会を開催しました。

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野中中央執行委員長の挨拶は以下の通りです。

【目 次】


はじめに

 電機連合第105回中央委員会に全国各地からご参集いただきました皆さん、大変ご苦労さまです。

 また大変ご多用の中、本中央委員会の激励のために、金属労協の髙倉明議長、国民民主党の玉木雄一郎代表、社会に貢献する電機産業を考える会の大塚耕平参議院議員にお越しいただいています。また石上としお、矢田わか子、浅野さとし、の3名の政治顧問にも駆けつけていただいています。

 ご来賓の皆さま方の日頃からの電機連合に対するご指導とご厚誼に、組織を代表して御礼申し上げると共に、改めて会場の皆さんの拍手で御礼に代えさせていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございます。

新加盟組合を心から歓迎

 はじめに、本中央委員会で新しく「e-エントリー労働組合」「PFA労働組合」「ナカヨ労働組合」の皆さんに電機連合本部に直加盟をしていただくことになっています。また「アドバンテスト労働組合」においては、グループ会社の「アドバンテストコンポーネント労働組合」と、今回新たに結成された「アドバンテスト九州システムズ労働組合」の3組合で「アドバンテストグループ労働組合連合会」を新たに結成し、一括加盟組織に変更となりました。皆さんと共に、加盟を心から歓迎し、今後のご活躍を祈念申し上げ、大きな拍手を送りたいと思います。

 また、第1号議案に記載の通り、一括加盟組織においても多くの仲間が加わったことも、併せてご報告しておきます。新規加盟組織の増員は1,176名でありました。組織拡大にご尽力された関係者の皆さんには、心から御礼申し上げます。一方で、事業構造改革や会社清算などによる脱退、さらには人員変動を加味しますと、結果として第66回定期大会時よりも組合員総数で2,570名の減員となることも報告させていただきます。

 組織拡大は仲間づくりであり、働くことの尊厳や権利を守るための取り組みです。構成組織・地協の皆さんには、組織拡大を労働運動の柱に位置づけていただき、電機連合本部との連携をさらに密にして、電機連合の総力を結集した取り組みとして強化をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

時代認識―持続可能な社会の再構築に向けて―

 今年は「平成」が終わり、新たな元号がスタートします。また、連合結成30周年、全労生設立60周年、そしてILO創設100周年という、労働組合にとっても大きな節目の年となります。いみじくも今年の干支である「己亥(つちのと・い)」の年には、完成した自己や成熟した組織が、足元を固めて、次の段階をめざす準備をする年という意味合いがあるようです。持続可能な社会の再構築に向け、私たちは受け身ではなく、主体性を持って取り組まねばならない時代が来ていると感じます。まずはその時代認識について所感を申し上げます。

ますます不確実性が高まる世界情勢

 1点目は、世界情勢の不確実性がますます高まっているということであります。「自国最優先の保護主義」が世界的に広まっており、「国際的な秩序の揺らぎ」あるいは「合意形成機能の低下」、さらには「分断社会」の進行に強い懸念を抱いています。米中貿易戦争の激化や第4次産業革命下での情報覇権争いなど、世界情勢は今後ますます不確実性が高まることが想定されます。外交面では、その動向を踏まえた冷静な対応が必要であると共に、この状況の打開に向けて日本の存在感ある対応が期待されていると考えています。

 同時に、世界経済の不透明感も高まっているからこそ、個人消費に支えられた内需の活性化による強固な日本経済の再構築につなげる必要があります。

持続可能な社会保障制度の再構築

 2点目は、社会保障制度を持続可能なものへと再構築する必要があるということです。世界に先駆けて進行する人口減少、超少子高齢化、そして生産年齢人口が毎年減少する中、社会保障は先送りできない課題です。現状を申し上げますと、2018年度の給付と負担の全体像は給付総額が約121兆円(年金約57兆円、医療約39兆円、介護約11兆円、子ども子育て約8兆円、その他約7兆円)であり、その負担は保険料で約70兆円、税金(国と地方)で約47兆円、資産収入で約4兆円がまかなわれています。厚生労働省の発表によると、2040年には給付総額が約190兆円に増加します。これからの20年間で約70兆円も増える見込みです。これまで、日本社会の成長を前提として築きあげてきた制度や仕組みを見直し、将来不安の払拭のためにも持続可能な社会保障制度に再構築しなくてはなりません。

社会全体の生産性向上

 3点目は、持続可能な社会の再構築には、社会全体の生産性向上が必要だということです。

 1959年に開催された欧州生産性本部ローマ会議の報告書には「生産性とは精神の態度であり、人間の進歩に対する信念である」と記されています。能率や効率だけを重んじた生産性向上ではなく、人間性を基礎とした「生産性の精神」が大事だと思います。その上で、「生産性三原則」を共有の価値観として、日本社会全体の生産性向上の取り組みにしていく必要があります。また、1959年当時とは取り巻く環境も大きく変化をしていますので、「生産性三原則」をめぐる今日的な課題に対する補強も必要です。「雇用の維持・拡大」には、労働力の質的向上が重要であり「働きがい」という視点をもっと重視する必要があります。私は「働きがい」の向上と企業・社会の持続的成長は両立できると考えており、全ての労働者がいきいきと働ける環境を作らねばならないと考えています。

 また、「労使の協力・協議」では、労使の信頼関係が最も大切です。その上で、労働組合の組織率向上や、企業のグループ連結経営やグローバル連結経営に対応した労使協議、テーマにもよりますが、産業レベルでの労使協議や政労使協議もより必要になっています。

 そして、「成果の公正配分」については、労働分配率の適正化や、サプライチェーン全体で生み出された付加価値の適正配分、さらには生産性向上を生み出す先行投資としての「人への投資」などについて、理解を深める必要があります。

第4次産業革命と電機産業の成長

 4点目は、第4次産業革命と電機産業の成長についてです。IoT、ビッグデータ、AI、ロボティクスなどの技術革新は今後加速度的に進んでいくものと考えています。これらを、日本経済の成長の原動力に、そしてさまざまな社会問題の解決につなげることが期待されています。第3次産業革命で登場したコンピューターは、人間がプログラムを与えることで初めて機能しましたが、第4次産業革命ではAIが自ら考えるところにブレイクスルーがあり、IoT が異なる産業をつなぐことで新たなサービスを生み出します。これらの技術は電機産業が主導してきたものであり、主体的な取り組みを通じて、社会的課題の解決と電機産業の成長発展に結びつけたいと思います。

 加えて、第4次産業革命が生み出す社会像として、人を中心に据えた人間大事の社会をめざしていかねばならないと考えています。SF小説ではありませんが、AIやロボットに支配される社会ではなく、人間がより人間らしく機械と共存する社会でなければならないと思います。

中道政治の必要性

 5点目は、中道政治の必要性についてです。

 私は、日本を世界で進行しているような「分断社会」にしないために何をなすべきかを常に念頭において行動する必要があると思っています。昨年の国会運営を見ていて危惧するのは、傲慢とも言える進め方、数の力で前に進める政治姿勢です。私たちは現政権に白紙委任したわけではないはずです。また一方では、その対抗手法として、自らの理念や正当性のみを主張し、政策の違いを際立たせ、国を二分させるような論議のやり方も見られ、このことにも危機感を持たざるを得ません。持続可能な社会の再構築に向けて衆知を集めなくてはなりませんが、価値観が多様化し、いろいろな意見がある中で、一定の方向性を導き出すことは、大変なことであるのも現実です。しかし、大変であるからこそ、国民の声に真摯な態度で向き合い、現実的な路線の中で、より良い社会づくりに向けて誠心誠意に取り組む中道政治が今の時代にこそ必要ではないかと考えています。

2019年闘争について

 次に、本中央委員会の主要議題である2019年闘争について述べさせていただきます。具体的な内容は明日の第2号議案で提案させていただくので、私からは闘争コンセプトに込めた思い、並びに継続した賃金水準改善の必要性と、統一闘争に対する思いの一端を申し上げます。

「生活不安、雇用不安、将来不安」の払拭に向け、継続した「人への投資」に取り組む

 今次闘争では、2つのコンセプトを掲げています。1つ目は、「生活不安、雇用不安、将来不安」の払拭に向けて、継続した「人への投資」に取り組むということです。

 「生活不安」を払拭するためには、一人ひとりのライフスタイルに応じた生活設計ができることが非常に重要です。そのためには、継続した人への投資により、安心して生活ができるよう、生活水準の維持・向上を図る必要があります。加えて、仕事を続けながら育児や介護、治療との両立ができているなど、ワーク・ライフ・バランスが実現できていることが大事です。

 また、「雇用不安」を払拭するためには、私たちが働く電機産業の成長発展が必須です。そのためには、人材の確保・定着と人材育成が極めて重要になります。電機産業の発展につながる政策の実現に向け、産別労使の連携を含め、対応の強化を図る必要があります。

 そして、「将来不安」の払拭に向けては、一人ひとりの将来の人生設計や生活設計ができる社会にしなければなりません。社会保障制度の再構築など、政策制度要求の実現に取り組む必要があります。

 これら3つの不安の払拭を着実に進めることが、個人消費を喚起し、経済の自律的成長を促し、強固な日本経済の再構築につながると考えております。だからこそ、継続した人への投資に取り組む必要がある、意義があると思っております。

すべての労働者が、いきいきと働ける環境をめざし、「働き方改革」を推進する

 今次闘争の中では、「総実労働時間の短縮」や、「働き方改革関連法への対応」「同一労働同一賃金に関する法整備への対応」「増加する外国人労働者への対応」そして「あらゆるハラスメントへ一体的に対応できる体制整備」などにも積極的に取り組んでいきます。

 日本という国は、一人ひとりの懸命な働きによって成り立っており、日本が世界に誇れる強みは「人」であると思っています。そうであるからこそ働く全ての人たちの「働くことの尊厳」や「豊かに働く」ということをもっと大事に考えなければなりません。「人を活かし、人が活きる」社会にしていかねばならないと思っています。そのためには、一人ひとりの働くことを通じてのみ得られる「働きがい」を大事に、全ての労働者が、いきいきと働き続けられる環境をめざして、働き方改革を推進していかねばなりません。

 具体的な内容については、後ほどの提案に譲ることとしますが、ぜひそれぞれの組織で、丁寧に対応していただくことをお願いしておきます。また現在、皆さんに外国人労働者の実態調査をお願いしていますが、1月末が締め切りです。実態を正しく把握して次の取り組みにつなげていきたいと思っていますので、協力をお願い申し上げます。

継続した賃金水準改善の必要性

 次に、継続した賃金水準改善の必要性について申し上げます。この数年、賃上げを実施してきましたが、働く者の現状は「可処分所得は徐々に増えてきてはいるものの、リーマンショック前には戻っておらず、不十分であり、実質生活が改善していない」というのが現状です。一方、世界経済の不透明感が増している時だからこそ、外需が落ち込んでも個人消費を中心とした内需が支える経済構造にしておく必要があります。

 その解決に向けては、多面的な取り組みをやっていかねばなりませんが、電機労使が主体性を持ってできることとして、電機産業で働く全ての人の生活の維持・改善を図るための、継続した賃金水準改善の実施と波及効果の最大化に取り組む必要があります。また、ものづくり人材の獲得に向け、高卒初任給を従来以上に引き上げる要求(案)を提案しています。他産業と比較して大幅に見劣りする実態となっており、人手不足の情勢の中で電機産業としての人材確保を目的としています。さらに、電機産業に働く全ての人たちの賃金の向上につなげるべく、最低賃金引き上げの提案を行っています。ご理解とご支援をお願いします。

 いずれにしても、電機産業の持続的な発展と魅力ある電機産業を実現するためには、「人への投資」が必須であり、電機連合統一闘争へ、より多くの組合の参加をお願いします。

統一闘争の真価の発揮

 今次闘争は、統一闘争強化5年目の闘争であり、これまでとこれからについて、私なりの思いの一端を決意として申し上げます。

 日本で春闘方式がスタートしたのは1956年であり、今年は63年目の春闘ということですが、社会的責任型闘争としての意味合いが年々大きくなっていると思っています。一方、電機連合統一闘争がスタートしたのは1962年であり、今年で57年目となります。これまで、統一闘争強化の観点から、労働条件の維持向上と波及効果の最大化をめざし、統一闘争の考え方の再整理と闘争体制の見直しを行ってきました。再整理の狙いは大きく3つあり、1つ目は「統一闘争で取り組む枠組みをはっきりさせること」、2つ目は「統一的にベアに取り組まない場合でも主体的判断ができる枠組みにすること」、そして3つ目は「目標水準達成プロセスを明確にすること」です。具体的には、統一闘争として「何としても守るべき領域」と「各組合が業績や処遇実態を踏まえ、主体的に処遇改善に取り組む領域」を設けました。そして、何としても守るべき領域として「賃金水準改善」「最低賃金」「一時金」を定め、統一闘争としてスト権をかけて取り組む枠組みを明確にしました。また、それぞれの組織の実態に応じて独自に要求を組み立て、格差是正などの取り組みを推進する領域を設け、主体的に取り組むこととしました。そして、そのことの支援策として「政策指標」と「ベンチマーク指標」を用意し、中期的に達成するためのプログラムの策定と実践を推奨しています。これらの考え方で統一闘争を進めてきましたが、相場形成と波及効果という点において、社会的な役割と責任を果たすことにつながっていると思います。統一闘争を支える労使の信頼関係と真摯な論議に、改めて心より感謝申し上げます。

 しかし一方で、「人への投資」の多様性への対応や、最低賃金、さらには初任給など、魅力ある電機産業に向けて、さらなる労使論議が必要な点も明確になってきていると思っており、今後の交渉・協議の中で論議を深めたいと思っています。

統一闘争の今日的意義

 冒頭の時代認識の中で、生産性三原則を日本社会で共有する共通の価値観とする必要があると述べましたが、とりわけ生産性向上で生み出した成果をステークホルダーに公正に配分することに対する論議の深掘りが必要だと思っています。「公正な配分」とは、何をもって公正というのか。全くの私見になりますが、それは信頼ある労使の誠心誠意の協議を通じて導き出した答えに他ならないと考えています。このことはまさに電機労使の基本姿勢であり、電機連合統一闘争の役割と責任として取り組んでいかねばならないと思っていますのでよろしくお願いいたします。

 いずれにしても、2019年闘争は業績動向に対する不透明感や事業構造改革などを抱える状況もあり、厳しい交渉になると思われます。しかし、皆さんとの「意思疎通」「合意形成」そして「意思決定」のプロセスを大事にして、社会的要請に応え、内外にメッセージ性のある統一闘争にしていきたいと思いますので、皆さんに改めての意志結集をお願いします。

共済運動について

 次に、共済運動について、歴史と今日的課題、そして労働運動としての共済の取り組み強化について述べさせていただきます。

歴史的経過と今日的課題認識

 歴史を振り返ると今から約30年前に、賃金闘争主体の闘争から総合労働条件改善闘争へと運動の転換を図る取り組みの一環として、電機連合独自の共済をスタートし、1987年7月には「福祉共済センター」を設立しました。以降、組合員のニーズを踏まえた制度の充実を行ってきました。また、共済センター設立時に幹事代理店として株式会社コンポーズ発送に委託、その後1991年11月には株式会社ミューチュアル・エイド・コミュニケーションズ(2007年7月に株式会社マックスに登録変更)を創立し、代理店体制を構築してまいりました。

 さらに1999年には、メンタルヘルス対策活動の大きな柱として、「ハートフルセンター」を設立。経験豊富なプロのカウンセラー(3名)と精神科・心療内科の医師(1名)による電話相談対応を、月曜日から金曜日の16時~20時の間に受けられる体制も整えました。また、2008年には「メイト会」を設立し、電機連合の組合員が企業の構造改革などによる非自発的理由で退職し、電機連合の組合員ではなくなった場合に、各種相談や電機連合共済を継続できるような体制を整えました。そして2014年には高齢社会への対応として「福祉会」を創設。65歳以上の「けんこう共済」加入者に入会いただき、生涯にわたって安心して電機連合共済をご利用いただけるようにしました。電機連合共済は、まさに電機連合が誇る総合的に生活改善が図れる運動といえます。

 しかし現在の加入の現状では、制度を知らない組合員が多いのではないでしょうか? 数多くいる無保障者の存在が大変心配です。そういった意味で、全ての組合員とその家族に対する説明責任をキッチリと果たすこと、加えてさらなる共済運動の充実に向けた体制強化も必要と考えています。

労働運動としての共済運動の強化に向けて

 今次闘争では「3つの不安の払拭」をコンセプトに進めますが、共済もまさしく個人ができる生活不安・将来不安の払拭と可処分所得の増大に寄与する取り組みの1つです。今の生活や将来を見据えて必要充分な保障となっているか? あるいは掛け過ぎとなっていないか? 代理店・全労済を活用した「保障の見直し」をお願いします。

 また、電機連合各共済の中期加入目標を組合員の40%としています。これは助け合いの活動として無保障者をなくしたいとの思いからです。とりわけ若手組合員の加入率は低く、無保障者も散見されることから、入社の4月より、新入社員(新入組合員予定者)への説明会・研修会の開催をお願いします。

 さらに2017年より、けんこう共済介護特約を開始しました。すでに6,000名の加入があり、昨年は5件の給付金の支払いも発生しました。「介護の備え」の周知をお願いします。

 電機連合のスケールメリットを最大限に活かした助け合いの制度として、全ての方に丁寧にご紹介し加入者を増やしていかねばなりません。労働運動としての共済です。さらに一層の強化をお願いします。

統一地方自治体選挙・第25回参議院議員選挙について

国民参加の民主政治の実現

 次に、政治について述べさせていただきます。日本は国民主権の国です。私たちの声が正しくタイムリーに国政や地方行政の場に届かねばなりません。また、日本は議会制民主主義の国です。国民によって選ばれた議員が、私たちの代表として議会の場で話し合いをして政治を進める国です。

 一強多弱の政治体制が続き、バランスが崩れてしまっている現状に懸念を抱いています。民主政治の危機と捉えてもよいと思います。政治に緊張感を取り戻す必要があります。そのためには、政権交代可能な二大政党的体制の構築や、私たち働く仲間と同じ感覚を持った政治家の存在がとても大事だと思います。

 そして私たちにも、行動を起こすことが求められています。春には統一地方自治体選挙、夏には参議院議員選挙がありますが、国民参加の民主政治を実現するために、労働組合としてもその役割と責任を果たさなければならないと思っています。

組合員との信頼関係の構築

 大変危惧していることは、組合員の政治への関心度が低下してきていることです。選挙直後に毎回行う意識調査結果では、自由記入欄に書かれた意見を分析すると、組合員の政治への関心度の低下の原因は、「政治不信」「政党不信」そして「政治活動不信」が考えられます。政治的混乱が続く中で、労働組合として、なぜ、その政党や候補者を支援するのか? また、その政党や候補者を支援することが、自分たちにとってどのような影響があるのか? といったことに理解・納得がされないまま、組合からの協力・支援要請を受けることに強い抵抗感を抱き、さらなる「政治離れ」「政党離れ」「政治活動離れ」を招いているとも考えられます。従って、まずは組合員との信頼関係構築を念頭に置いて、一人ひとりとの丁寧な対話を基本に取り組む必要があります。

国民民主党の認知度向上

 連合の組織内候補10名は、国民民主党と立憲民主党に所属しています。今年の参議院議員選挙を連合700万人の組合員が結集して取り組むために、連合はこれまで両党との間で、「与党を利さないための協力協議に対する覚書」や「政策協定の締結」を実施してきました。今後の二大政党体制構築に向けたうねりを起こしていく必要があります。石上としお再選のためには、国民民主党の認知度の向上が必須です。まずは統一地方自治体選挙を通じて電機連合が推薦する候補者全員の当選を果たし、かつ国民民主党の認知度向上に向けて潮目を変える必要があります。さらに認知度向上に向けては選挙区選挙との連携が重要となります。各選挙区の候補者選出にあたっては、地域ごとにいろいろなケースも出てくると思いますが、組合員への説明責任を果たすことが大切であり、今後地協ならびに構成組織の皆さんと連携を取り、対応してまいります。

石上としお二期目の挑戦に向けての要請

 「石上としお」は、私たちの仲間であり、電機産業を代表する議員です。これまでの6年間、職場の声を、全力で聴き、全力で国政に届けてきた経験と実績があります。国民参加の民主政治を再構築するためにも、私たちの声の代弁者として「石上としお」には引き続き国政の場で活躍をしていただかなければなりません。電機連合構成組織、各組合、各地協の役員の皆さんには、それぞれの職場や地域で、組合員一人ひとりとの対話を、「石上としお」に成り代わって、丁寧に進めていただくことをお願いします。「石上としお」二期目の挑戦に向けて、電機連合57万人の総力を結集して、全力で取り組んでいきましょう。

 この挑戦には電機連合の229組織・628組合からなる「縦」の取り組みと、全国36の地協からなる「横」の取り組みの連携を密にする必要があります。全ての組織、全ての人が、優先順位の第1に掲げて取り組んでいただき、「全力で挑む」を合言葉に「石上としお」支援の輪を広げていただくよう要請します。

パイオニア労連の統一闘争離脱について

 皆さまに一点ご報告し、ご理解をいただきたいことがあります。パイオニア労連の2019年闘争における中闘組合としての役割と責任を凍結することをご了承していただきたい。正式には第1回中闘委員会(2月18日)で決定される事項となります。理由は、会社が存亡の危機と言っても過言ではない状況にあり、昨年12月に経営再建に向けた大きな決断がなされました。これまで、パイオニア労連と複数の論議を重ねてきましたが、当面は労使双方が経営再建に向けて集中したい、という思いがあり、統一闘争で定められる日程で交渉を行うことは、実質的に難しい状況です。職場の混乱を招かないためにも早いタイミングでの発信が必要と判断し、今回の決定となりました。

結び

 闘争が果たすべき社会的責任はますます重くなってきています。そのことを自覚し、全力で対応していきたいと思います。皆さんのご協力を改めてお願いします。時間の関係で触れることができなかった課題や、説明が足りなかったこともあるかと思いますが、中央委員の皆さんの真摯で活発な議論をお願いし、本部を代表しての冒頭のあいさつとさせていただきます。

 ご静聴ありがとうございました。

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