電機連合

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電機連合TOPICS

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第67回定期大会 委員長挨拶

全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会
中央執行委員長 野中 孝泰
2019年7月8日

電機連合は2019年7月8日~9日に、神奈川県横浜市で第67回定期大会を開催しました。

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野中中央執行委員長の挨拶は以下の通りです。

【目 次】


はじめに

 電機連合第67回定期大会に全国各地よりご参集いただきました皆さん、大変ご苦労さまです。また本日は来賓として、公務でご多用の中、連合から神津会長、こくみん共済coopから中世古理事長、電機連合政治顧問の矢田わか子参議院議員、浅野さとし衆議院議員にお越しいただいています。金属労協からは髙倉議長がお越しになる予定でしたが、急きょご欠席となりました。「石上としお必勝に向け、ぜひ頑張ってほしい」「くれぐれも皆さま方によろしく伝えてほしい」とのことでした。また、明日は国民民主党から玉木代表がお越しになる予定です。そして、石上としお政治顧問ですが、今まさに選挙戦を戦っている最中ですので、後ほどの「石上としお決起集会」の中で、現地と回線を繋ぎ、ごあいさつを受けたいと思います。

 ご来賓の皆さま方の日頃からの電機連合に対しますご指導とご厚誼に、組織を代表して御礼申し上げるとともに、改めて会場の皆さんの大きな拍手で感謝の意を表し、御礼に代えさせていただきたいと思います。本日は、大変ありがとうございます。

 今回の大会は、第25回参議院議員選挙と重なり、選挙本番中での開催となっています。本定期大会の議案は「運動方針の補強や予算」「闘争の評価と課題」に加え、「第7次賃金政策」「労働時間対策指針」「第7次産業政策」など重要なものが多くありますので、熱心なご論議をお願いしますが、一方で効率的な運営にも努めたいと思いますので、皆さま方のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

新加盟組合を心から歓迎

 はじめに、本定期大会で新しく「新潟太陽誘電労働組合」「TOWAレーザーフロント労働組合」の皆さんに、電機連合本部に直加盟していただくことになっています。皆さんとともに、両組織の加盟を心から歓迎し、大きな拍手を送り、今後のご活躍をご祈念申し上げたいと思います。

 また、第1号議案に記載の通り、一括加盟組織においても多くの仲間が加わったことを併せて、ご報告しておきます。その結果、電機連合の実在組合員数は昨年の定期大会時よりも1,876名増加し、573,731名となりました。組織拡大にご尽力された関係者の皆さま方に心から感謝・御礼を申し上げます。

仕上げと再スタートの1年に

 さて、昨年の大会で、「変化の時代、労働組合の存在意義を自覚し、その役割と責任を果たす2年間にしよう」ということを申し上げました。本年度は、2年サイクルの運動の仕上げの年度であるとともに、電機連合の中期運動方針の最終年度であり、新中期運動方針策定に向けた準備の年度でもあります。加えて今年は、連合結成30周年、全国労働組合生産性会議(全労生)発足60周年の節目の年でもあります。したがって、「仕上げと再スタート」という視点で、思いの一端を申し述べさせていただきたいと思います。

石上としお必勝に向けて

 まずは、石上としお必勝に向けてであります。既に選挙戦はスタートしており、7月4日の出陣式以降、石上としお候補は必死で全国を駆けめぐっています。また、電機連合構成組織、地協、支援産別、議員団、OB会の皆さまなど、まさに総力を結集しての取り組みに感謝申し上げます。私たちの代弁者として、再び国政の場に、必ず送り届けることを皆さんとともに誓い合い、そのための取り組みを徹底して行うことを改めて意思統一したいと思います。

 日本は今、国として将来進むべき方向を決めなければならない極めて重要な時期を迎えています。しかし、政治の現状を見ると、一強多弱の国会運営が長く続いていることでバランスが崩れ、さまざまなところでほころびが出始めています。民主政治の危機を感じざるを得ません。この状況を打開するためにも、私たちの声を政治に反映させなくてはなりません。今回の選挙は、私たちが「国民」として、「働くものの代表」として、「将来に対する責任」を果たさなくてはならない大変重要な選挙にしていかなければならないということを、改めて申し上げたいと思います。

 その責任を果たすためには、まずは必ず投票に行くことが必要です。投票率100%を実現する運動を展開しましょう。前回の参議院議員選挙の投票率は、全国で約55%であったところ、電機連合組合員では約78%でした。全国平均に比べて高いとはいえ、22%の組合員は投票に行っていないのも事実です。ぜひ、投票率100%を実現しましょう。選挙で投票に行けなかった理由で一番多いのは、「投票日当日に用事ができたから」ということでした。ぜひ簡単にできる「期日前投票」を組合員に勧めていきましょう。「期日前投票で投票率100%」をめざし、取り組んでいただくようお願い致します。

 石上としお当選のためには、「石上としお」という個人名が書かれた比例代表の投票用紙が必要です。名前を書く選挙であることを徹底して伝えてください。投票用紙に個人名を書くためには、候補者の名前を覚えなくてなりません。これまで、「石上としお」の名前を浸透させる取り組みを各組織で工夫して実施していただいていると思います。しかし、いざ投票所に行くと、焦って名前が思い出せないということもあります。全組合員に「石上としお」の名前の浸透・周知の徹底をぜひお願いします。投票所に行って名前を忘れてしまった時のため、「国民民主党の1番目が石上としお」と覚えていただくよう、よろしくお願いします。6割近くの組合員が、公示後、選挙が始まってから投票先を決めたというアンケート結果も出ています。これからが大事な時期です。改めて各組織内で、一人ひとりの組合員との対話を基本とした丁寧な対応をお願いします。加えて、当選のためには、支援の輪を広げていくことが大事です。ご家族はもちろんのこと、友人知人へ一声かけていただくことの徹底もお願いします。

 7月21日の投開票日、投票箱の蓋が閉まるまで、本日を入れて残り14日です。2期目必勝に向けて、電機連合の総力を結集して取り組むことを、改めて、要請しておきたいと思います。

労働組合の社会的責任の発揮を

 6月28日・29日にG20大阪サミットが開催されました。米中の対立と新たな覇権争い、自国優先主義が広がる中で、世界的な合意形成を得ることの難しさを改めて感じるとともに、世界で進行する分断社会の将来が懸念されるという印象を強く持ちました。日本では、今年5月より、新たな元号「令和」がスタートしました。「令和」には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているとのことです。今の時代の特徴を一言で表すのは難しいかもしれませんが、あえて申し上げるならば、それは「価値観が多様化する時代」ということだと思います。多様化する個々人の価値観と、労働運動としてまとまることとの整合性を取りながら、かつ労働組合として団結すること、そして「参加や参画」という視点での労働運動が今、求められるのだと思います。

 日本の最大の課題は、「持続可能な社会に向けて、日本の社会を再構築すること」であると言っても過言ではありません。人口減少、超少子高齢化が進み、生産年齢人口が毎年減少するという世界に類を見ない人口動態、しかも本来、その社会を支えるべき側である雇用労働者の約4割が非正規労働者となっている現状をどうするのか? 多くの国民、組合員が将来不安と考えている社会保障の給付と負担をどう再設計するのか? また、持続可能な社会を構築するためには、環境問題や自然災害への備え、エネルギー政策についても、現実的な視点を重視して取り組む必要があります。さらに、第4次産業革命への対応は、一企業としての問題ではなく社会全体の問題として捉えるべきであり、グローバルな視点で考えなくてはならないテーマでもあります。第4次産業革命において基本となる技術は電機産業にあり、その意味で電機産業の発展に結びつけるとともに、日本が抱える社会的課題の解決に結びつけていかねばなりません。一方、第4次産業革命の進展は、産業構造や就業構造の変化、さらには私たちの働き方の見直しにもつながってきますので、このことにも備える必要があります。今大会では、"第4次産業革命と電機産業の飛躍"と題した「第7次産業政策」を提案させていただきます。

 いずれにしても、労働組合が働くものの代表として社会的責任を自覚し、その役割と責任を果たさなくてはならない時代であるということを強調しておきたいと思います。

「働きがい」を大事に

 持続可能な社会を実現するためには、社会全体の生産性向上を図る必要があります。生産性とは何か? 1959年に開催された欧州生産性本部ローマ会議の報告書には「生産性とは精神の態度であり、人間の進歩に対する信念である」と記されていますが、これは能率や効率に偏重した生産性向上ではなく、人間性を基礎とした「生産性の精神」が大事だということです。その上で、「生産性3原則」を共通の価値観として日本社会全体の生産性向上の取り組みにしていく必要があります。同時に、誰のための、何のための生産性運動なのかということが大事だと思います。日本という国は、一人ひとりの懸命な働きによって成り立っています。成長の原動力はまさに「人材」であり、「人」を中心とした日本的経営の意義を再確認する必要があります。すべての働く人たちの「働くことの尊厳」や「豊かに働く」ということをもっと大事に考える必要があります。「人を活かし、人が活きる」社会にしていかねばなりません。そのためには、働くことを通じてのみ得られる「働きがい」を、最も大事な価値観に据えて取り組むべきだと考えます。

 働きがいを高めるためには、処遇や働く環境の整備が大変重要になってきます。日本では、生産年齢人口の継続的な減少が見込まれており、労働力不足や人材不足が課題となっています。その人材不足を背景に、企業の中途採用やキャリア採用者数は増加傾向にあります。また、情報処理やデジタル技術、AIなどの分野の専門性や能力を持つ人材の獲得競争が激化しています。このような環境のもと、企業の持続的な成長のためには、高度な専門性や能力を持つ人材、仕事と育児・仕事と介護・仕事と治療を両立する人材、女性・高齢者、外国人労働者など、多様な人材が継続的に労働力の質的向上を図るための職場環境を整備するとともに、個々人のスキル・能力の高まりを適正に処遇に結びつけていくことが必要と考えています。今大会では、昨年の大会で確認された「草案」にもとづき、2018年秋季組織強化期間での職場討議やライフキャリア研究会の調査結果、法改正の動向などを踏まえ、「第7次賃金政策」として提起しています。

 加えて今大会では、10年ぶりの改定となる「労働時間対策指針」を提案します。本指針の見直しにあたっては、2015年に統一闘争強化の中で取りまとめた「政策指標」、2017年に電機産業労使で確認した「労使共同宣言」そして、今年2019年4月からすでに順次施行されている「働き方改革関連法」などを踏まえました。また、「高度プロフェッショナル制度」「テレワーク」「副業・兼業」についても、新たな項目として追加し、労働時間対策の観点で取りまとめています。各組合が、適正な総実労働時間の実現や多様な働き方が可能な環境整備を行い、すべての労働者がいきいきと働ける環境づくりをめざし、取り組みに活用していただきたいと考えています。

電機連合統一闘争について

 電機連合統一闘争の歴史を振り返ってみますと、日本の春闘がスタートしたのが1955年、その7年後の1962年に電機連合統一闘争がスタートしました。そして、1974年春闘で初めて電機産業労使会議の中で電機工業会と通信工業連盟に対して電機連合としての要求書を提出しました。そして1991年春闘からは、6社による産別労使交渉がスタートしました。1962年に始まった統一闘争ですが、プロジェクトでの論議を経て2015年闘争より統一闘争強化の視点で取り組んでいます。それから5年が経過し、狙い通りに効果が上がったところも多くありますが、課題も出ています。5年という節目に総括を行うとともに、産別労使交渉において経営側より提起のあった「人への投資の多様性」と統一闘争との関係の整理についても今後論議を進めてまいりますので、よろしくお願いします。

 また、来年の春闘についてですが、大変心配しているのは、米中貿易摩擦の動向であります。サプライチェーン全体において、相当な影響が出てくるのではないかと危惧しています。また、10月には消費増税も予定されており、消費の低迷も懸念されます。従って個人消費に支えられた日本の経済基盤を構築するための取り組みがより重要となってくると思われます。また来年は、東京オリンピック・パラリンピックで世界中から多くの方々がお越しになります。東日本大震災から復興した元気な日本、活力ある日本をお見せしたいと思います。そのような状況下での来年の春闘は、労働協約改定の闘争でもあります。社会的課題の解決に向けた春闘の位置付けや重要度は益々高くなってくると考えています。日本社会に活力を生み出すためにも「生活不安」「雇用不安」「将来不安」の3つの不安の払拭を着実に進める闘争にしていきたいと思います。

組織拡大・組織強化に向けて

 電機産業には、いまだ多くの未組織労働者と直接雇用の非正規労働者がいます。組合活動に携わるすべての人に組織拡大の意義や重要性について、改めて考えていただきたいと思います。電機産業で働くすべての人たちの働くことの尊厳と権利を守るために、組織拡大に対する取り組みの強化をお願いします。組織化の取り組みは、当該組織が抱えるさまざまな課題があり、一律にマニュアル通りとはいきません。構成組織、地協、そして電機連合本部が連携をさらに密にし、電機連合の総力を結集した取り組みとして、強化していきたいと思います。

 加えて、労働組合としての機能を最大限に発揮できる組織づくりを目的に、各種組合活動の必達基準や目標基準を定めた「組合活動指針」を策定します。この指針を活用し、自組織の活動の実態把握と評価、計画的な組織強化に結び付けていただきたいと思います。

 先ほども少し触れましたが、米中貿易摩擦が長引けば、日本の製造業にも大きな影響が及びます。既に電機産業の一部の企業では、昨年末より生産調整や一時帰休・休業などが実施されており、今後の動向が大変心配されます。こういった情勢のもと、両国間の制裁措置が日本企業に及ぼすリスクについて加盟組合に周知するとともに、雇用に関する影響を共有し、迅速かつ的確に対応していくことが重要です。電機連合では非自発的退職者は出さないことを最重点課題と位置づけ、「緊急雇用対策本部」を設置しました。各組合におかれましては、電機連合本部・地協との連携を密にされ、具体的な対応をお願いします。

共済活動の強化を

 次に共済について触れさせていただきます。共済活動で大事なことは、「もしもの時の備えを組合員一人ひとりができているのか?」このことを労働組合としてしっかり把握し、無保障者をなくすことです。その思いから中長期の加入率目標を40%と定め取り組んでいます。各組織におかれては目標達成に向け、次の5つをお願いします。①共済加入推進組織の確立、②加入実態把握・分析と加入目標の明確化、③新入社員・新入組合員対策の強化、④共済加入促進マニュアルを活用した職場対策の強化、⑤共済推進スケジュールの明確化など、取り組みの具現化をお願いします。

 また、一昨年より導入した「フレッシャーズプラン一律加入タイプ」は多くの組合・支部での導入が進んでいます。この制度は新入社員・新入組合員全員が加入することを組織決定した組合と福祉共済センターが協定を結ぶことにより、個人告知無しで加入できる制度です。無保障者を無くすためにも、導入に向けた組織での検討を心よりお願いします。

 電機連合の共済も設立後30年が経過し、先輩方と皆さんのご尽力により民間産別最大規模の共済となりました。電機連合57万人のスケールメリットを最大限に活かし、さらに魅力ある共済制度にするよう、運営体制の整備と強化を図り、労働運動としての共済の位置付けをさらに高めたいと思います。今後のさらなる加入者拡大と電機共済の充実・安定に向け、代理店体制の強化や、中長期を見据えたシステム投資なども併せて進めてまいりますのでよろしくお願いいたします。

国際労働運動の強化

 インダストリオール・グローバルユニオンが結成されて7年が経過し、ICT電機・電子部門の世界会議が本年10月にタイで、来年11月には第3回世界大会が南アフリカで開催されます。国際労働運動が活発になってきていることを強く感じています。グローバルに展開する多国籍企業であれば、世界の人々から尊敬され、信頼される企業をめざしているはずですが、海外における労使紛争が後を絶たないのが現状です。各国、各現場によって事情が違うため、日本の価値観だけで判断できる問題でないことは確かです。しかし、まずは現地における「労使の信頼関係」の構築が大事であり、健全な労使関係の構築に向けた取り組みを強化しなければなりません。加えて、グローバル企業内における労働組合ネットワークの構築も進めていくべきだと考えています。いずれにしても、国際労働運動の必然性は高まっており、金属労協や連合との連携を密に、取り組みを進めてまいりたいと思いますのでよろしくお願いします。

連合結成30周年に思うこと

 2019年11月に連合が結成30周年を迎えます。総評、同盟、中立労連、新産別というナショナルセンター分立時代から、全民労協、民間連合を経て、1989年11月21日に官民統一による現在の連合が結成されました。「社会的価値のある運動」「国民に期待される運動」が連合構築の原点であります。そして、連合結成に向け、労働戦線統一に果たした電機連合の役割は非常に大きかったと感じています。連合結成後14年が経過した2003年、(故)中坊公平さんを委員長とする連合評価委員会から、現状に対する5つの指摘を受けました。今の労働組合は「大企業で働く男性社員のみの利益を追求している」「労使の緊張感が足りない」「不条理に対する怒りが感じられない」「国民の共感を得る運動になっていない」という指摘でした。以降、いろいろな取り組みをやってまいりましたが、現状は、いまだ悩み続けていると思います。連合結成30周年を大きな節目として、結成の原点に立ち返り「社会的価値のある運動」「国民に期待される運動」の実践に向け、連合の構成組織が一体となって取り組む再スタートにしなければなりません。電機連合本部はもちろんのこと、それぞれの地域においても多くの組織が連合と深く関わっています。電機連合として改めてその責任を自覚し、役割を果たしていかねばならないと考えています。

 また、電機連合では、現在、新中期運動方針の策定に取りかかっています。大きな変化の先に何を見定めるのか、十分な準備と論議を重ねて策定してまいりたいと思います。第69回定期大会で確認をいただく予定ですのでよろしくお願いします。

結び

 結びになりますが、時間の関係で詳しく触れることができなかった点はご容赦いただき、代議員の皆さんの活発な議論をお願いし、本部を代表してのあいさつとさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。